梅雨入り宣言

気象

関東甲信地方が梅雨入りをしました。これが珍しいことだというので、ちょっとした話題になっています。

西から順に梅雨入りしていく

梅雨は梅雨前線が日本付近に停滞し長雨をもたらします。しかし、ひとくちに梅雨と言っても、西日本と東日本では異なる現象です。

東日本では前線を挟んで北側の寒気と南側の暖気がせめぎ合いますが、西日本ではインド洋を起源とする湿りが前線に向かって運ばれてきます。湿りというのは水蒸気のことで雨の源になります。それが海から運ばれてくるのでその供給は尽きることがなく、西日本の梅雨は時として大雨をもたらすことがあります。

このような季節進行は西から進んでくるので、梅雨入りは西日本から順に東日本に進んでくるというのが平年です。しかし今年は、九州・四国・中国・近畿・東海をすっ飛ばして、いきなり関東甲信が梅雨入りしてしまったのです。このような事例は過去に1回しかなかったと報道されています。

梅雨入り宣言は政策的?

梅雨入り・明けが発表されるようになったのは1986年と比較的最近のことで、それ以前は気象庁内の作業として実施されていたそうです。現在、気象庁HPには1951年からの記録が掲載されています。

梅雨入り・明けの判断は、気象庁の担当者が週間予報と睨めっこをしながら決めます。梅雨入りを宣言した途端に晴れ間が続く、そんな状態は避けたいものです。ですからこれから雨や曇りが続きそうなことを見極めて宣言します。

かと言って平年から大きくずれ込んでも、何かと具合が悪いのでしょう。最近の情勢では、すぐに異常気象と結びつけられてしまいかねません。できるだけ平年値に合わせて発表したくなったとしてもおかしくありません。

すなわち、梅雨入り・明けの宣言は科学的にピタッと決まるのではなく、色々な要因を考慮して総合的に決められるのです。

「なぜ関東甲信の梅雨入りは早かった?」 ーレジェンドの答え

関東甲信の梅雨入りが西日本より早かったのかはなぜか。その理由は気象予報士に尋ねるのではなく、判断を行った気象庁の担当者に聞くべきです。

日本銀行が金融政策を決定する会議の議事録を後日公表するのと同じように、気象庁も梅雨入り・明けの判断会議の議事録を公表したら面白いでしょう。

ちなみに、冒頭の質問を聞かれた気象予報士の多くが真面目に解説をする中、気象予報士界のレジェンド、森田正光氏は「うーん。一言で言って、偶然です」と答えていました。

大人の事情を呑み込んだ上での名答、あっぱれです!

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